汗と涙の日曜日
AM7:30
LSD後の我が家。
なにやら長女がえらい不機嫌。どうやら熱があるようだ。
第四日曜は休診の病院が多くかかり付け医も休み。
余り芳しくない様子だったので、
急遽救急外来をやってる医療センターまで車を飛ばした。
※
この時、帰ってきてすぐだったので適当に着替えただけで私はシャワーも浴びてない。
AM9:00
休日の救急外来は具合悪そうな患者さんで満杯。
小一時間10人以上の名が呼ばれた後でようやく娘が呼ばれる。
このときは38°ちょいの熱と咳で飲み薬を処方されて終わりだと思っていた。
診療したお医者様がむずかしい顔をしている。
「うむーこれは・・・レントゲンも念のため撮りましょう」
娘はレントゲンから吊されているアンパンマンのおもちゃでニッコニコである。
ほどなくして
「喘息のようです。奥の処置室で酸素吸入をやりましょう」
え
予想外の診断に嫁と顔を見合わせる。
「小さいお子様は喘息になっても症状が軽いとその苦しさに慣れてしまい、苦しさを顔にださない傾向があります。少し前から息を吸いにくかったのではないでしょうか。酸素吸入で改善すれば問題ないです。」
30年余生きてきて、開いた口が塞がらないを初体験した。
いつも側に居る嫁さんですら気づかなかったのだ。
「酸素吸入で症状が改善しなかったら入院の必要があります。」
入院
次々と説明される事項を頭で整理しながら奥の処置室(重篤患者用)に入った。
AM11:30
確認するが、僕はシャワーも浴びずに病院にきている。
酸素吸入といっても大がかりな物では無く、
チューブからでている酸素を口付近に近づけるというものだ。
朝ちょっと行ってくるわ~と、長男をこっちにたまたま来ていた母親に預けて
もうお昼の時間である。
LINEでいつ帰れるかわからない旨を看護師の目を盗んで送信した。
この酸素吸入の下りは3回ほど続いた。
娘はぐずってしまい手に負えない。
並行して点滴も入れて脈拍を測る機材を付けられており
見た目だけなら立派な患者になっている。
PM2:00
こちらももちろん何も食べていない。
ぐずりまくりの長女は嫁さん以外が抱くと号泣しちゃうし、
症状の説明やら補助やらで僕も離れる隙もなかった。
結局、長女は入院することになった。
そこから病棟の担当医師にバトンタッチし、最初からご説明する。
ずっと気を張っているので嫁さん共に消耗しきっている。
長女のご機嫌がよさそうなわずかな隙に一番近い自販機へいきポカリを購入。
6時間ぶりに口に入れた。
LSDでパサパサだった僕の体の血管の隅々にポカリが巡っているような気がした。
再確認するが、シャワー浴びてないからね!!
PM4:30
別棟の病棟に移り、嫁さんは長女を抱き続ける。
僕は入院申込書などの書類関係を記入しつつ、
立ち替わりくるお医者様ならびに看護師さんに状況説明。
高い柵付のベッドに長女が入れられる。案の定号泣。
鼻に酸素吸入のチューブをつけられる。不機嫌指数はMAXである。
相部屋で他に3組の小乳児がいるが、うちの子はとびっきり大声で泣いている。
PM6:30
もう時間の感覚がなかった。
着の身着のまま入院となったので、長女の着替えやらオムツやら持ってこないと
どうにもならないので一度帰宅することにした。
看護師さんも、保護者がいなくてもちゃんと見るから安心して下さいと言っている。
せめて長女を寝かしつけてから退出したかったのだが、
中途半端な時間なので寝る様子は全く無い。
僕は嫁さんを再三説得して、家に帰ることを決めた。
看護師さんに頭を下げて退室しエレベーターに乗る。
扉が閉まるまではっきりと長女の泣き叫ぶ声が聞こえていた。
PM7:30
嫁さんは車の中でずっと泣いていた。車中は無言だった。汗臭(略
家に帰り母と息子に何度も謝った。母はしょうが無いよと諫める。
長男は嫁さんに引っ付いて離れない。そりゃ寂しかっただろう。
我々はまず母が作ってくれた暖かいご飯を食べた。
長男は安心したのか普段より早く寝てしまった。
訓練で備えられることはあっても、日常で備えられない事は沢山ある。
当たり前の事がある日突然当たり前じゃなくなるかもしれない。
酒を飲みたい気持ちをぐっとこらえ、
PM10:00 大きく息を吐いて一日の塩と疲れを洗い流した。